ゲル
大学祭が始まった。
モンゴルコーナーにゲルが立ってるという噂を聞いて、
ちょっと覗いてきた。
ラハムスレンさんの知り合いだというと、
ラハは友人ね、座って座って!!
といって、ミルクをごちそうしてくれた。
名前は聞き忘れたが、ミルクにモンゴルから取り寄せたというお茶と塩を入れ
て暖めたものらしい。
しばらくするとラハムスレンさんが奥さんと子供を連れて現れたので、
いろいろ話をする。
彼が子供の頃はウランバートルの郊外でゲル生活をしていた。
遊牧生活という訳ではないが、ゲル生活だった。
今でもウランバートルには近代的なビルに混じってゲルで暮らしている人が
いるけど、ゲルでは暖房に炭とかを使うので大都会では公害になるため、
最近ではあまりない。
都会から離れると今でも遊牧生活をしている人たちはいる。
どんなに近代化が進んでも、そういう生活を愛する人が、
昔ながらのやり方を残せるというのはいいことだと思う。
新しいものはいくらでも作ることはできるけど、
失われたら、二度と戻らない。
でも絶対に無くなるんだろうな。
開発とか始まったらそっちで働いた方が稼げるもんね。
そして、世の中にはものがあふれている世界があって、
ちょっと出稼ぎにいったら、今の倍以上のお金を稼げるって分かったら、
遊牧生活で生産して売って得たお金くらいでは得られないものが、
得られるって分かったら。。。
彼らに昔の生活を守ってって言うことは、我々のわがままだよね。
なんてこと考えてたら、そのうち、店の人が馬頭琴を弾いて見せてくれた。
バイオリンなんかと違って弦を押すのではなく、
横から触れることで音程を変えていた。
楽器の先端に馬の飾りが付いてるから、馬頭琴。
もし豚だったら、豚頭琴(トントウキン)。
蛙だったら、蛙頭琴(ケロケロトウキン)。