imash の日記

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頭じんじん

メンズデイということで「ニュー・ワールド」という映画を見に行く。
シネマフロンティアで自分の他にはカップルが二組とおじさんが3人だけのがらがら状態。まあ、全く話題になっていないからしょうがない。自分も数時間前まで存在すら知らなかった。何故見ようと思ったか?それは、監督が「シン・レッド・ラインシン・レッド・ライン」の人だったから。


この映画の魅力は何と言ってもその映像と音の心地よさにある。絶えず脳を刺激する映像と音。映画の中で常に水と森の映像が挿入されていて、それに何とも言えない心地よい音、それは水の音であったり、ピアノ音であったり鳥のさえずりであったり時には何かのノイズであったり、が鳴り続けている。また人と人がふれるシーン、そっと優しくふれるかふれないかのぎりぎりの距離感、あの感覚と映像が脳を刺激するのである。

ストーリーはアメリカに入植したイギリス人の男スミスと原住民の族長の娘ポカホンタスとの恋物語といった一見べたな恋愛ものだが、もっと心の内面のふれあいを描いている。お互いが触れそうですれ違ったり、離れたり、愛し合ったり。

ポカホンタスが最初に覚える英語が太陽、空、水、唇など、これはどれも映像のキーワードになっている言葉で、この言葉を教えあっているシーンの美しさは心地よすぎて、脳がじんじんとしてきた。


主人公達の気持ちは、ナレーション風に語られるが、あまりにとけ込んでいるのでどこまでがセリフでどこまでがナレーションなのか時に分からなくなる。彼らは、最後までお互いの本当の気持ちが分かることはない。また、肝心な所でわざとナレーションを入れないので見ている方も何故そうなるのか本当の気持ちを知ることが出来ないことが多い。ただ俳優達の微妙な表情からある程度察することができる。この登場人物達の微妙な距離感、映画と観客との微妙な距離感も妙に心地よいのである。


この作品は劇場で見るべき映画ですね。ただ、綿密に練られたストーリとか理屈やアクションとか起承転結のはっきりした恋愛ものを求める人は見てはいけません。歴史的事実を重視する人も見てはいけません。アメリカン・インディアンを未開人的に描写するのは人種差別だと怒る人も見てはいけません。あと寝不足の人も見てはいけません。絶対寝ます。逆に、抽象的でもやもや〜としたものが好きな人とか海とか山が好きな人とか、リラックスしたい人、余韻や余白が好きな人、にはお勧めです。


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